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代表あいさつ

自分の人生の主人公として生きられる社会を

私たちは、何のために生まれてきたのでしょうか。様々な答えがあると思います。私たちは性格も体の特徴もそれぞれに個性があり、皆違います。その個性をより生かし、お互いの違いを認め合いながら、自分たちの生きる社会を皆でつくっていきたいと思います。残念ながら今の日本社会では自殺者が3万人を超え、うつ病患者も増え、政治は混迷し、国民の中に孤独や無関心がはびこっていると感じます。パブリックプレスは一人ひとりが自分の人生を自分のものとして、自分の人生の主人公として生きられる社会を目指します。そのために、一人ひとりが当事者として参加できるよう、生きる力を取り戻す活動を行っていきます。

特定非営利活動法人パブリックプレス
代表理事 熊田梨恵

 

2012年8月20日認証

これまでの活動と経緯

2012年、私は「一人ひとりが主人公である社会」を目指し、その手段として市民目線で発信するメディアをつくりたいと考えました(当時の思いはこちら)。

一方で、急速なインターネット社会と技術の発達、SNSやスマートフォンの普及により、メディアやニュースの性質は様変わりしました。煽るような見出し、真偽も出典も不明な記事などがネット上に有象無象に溢れるようになりました。私は「読者に社会課題について考えるきっかけとなる記事を提供したい」という思いから、丁寧に医療介護現場を取材した公正な記事を届けられるよう記者活動を続けましたが、求められるのは見出しがキャッチーで楽に読める記事であると感じるようになり、この状況に記者として非常に悩みました。活動に行き詰まるようになり、しばらく活動を休止していました。

私自身の結婚、出産、育児、また2019年冬から始まったコロナ禍があり、活動を休止しながら様々なことを考えました。

その中で、コロナ禍によって人同士のつながりが絶たれ、DVや虐待によるトラウマ、孤独な子育てなどで追い詰められた女性たちのストレスが深刻な課題になっていることを強く感じていました。私は自分自身がDVサバイバーであるため、この状況を他人事と思えずにいました。コロナ禍以降、女性自殺者数やDV、虐待件数は増加し、物価高による生活苦も拍車をかけ、国内で母子の心中といった痛ましい事件も起きています。これ以上の被害を生まないために、孤立した女性たちが互いに悩みを話し合い、支え合うことで、生きる力を取り戻せる居場所づくりが必要ではないかと考えました。

私は、自分が育った家庭でのDV経験によるトラウマから自己肯定感を育むことができず、摂食障害、自傷行為などの依存症に苦しみ、克服してきた経緯があります。その過程でDVや摂食障害の当事者の集まる自助グループ通うようになり、命を救われてきました。サバイバーは自身を「普通ではない」と思っていることがほとんどのため、社会から孤立していたり、集団にいても理解者を見つけられず孤独を感じていることが多く、孤立ゆえに痛ましい状況に遭う人が多くいます。一方で、サバイバーには困難な状況を生き延びてきた力、同じ境遇にある人たちと支え合う強い力も同時に存在していると実感しています。同じ境遇にある人同士が時に泣き、笑い合いながらつながれる居場所を得て、役割を見出すことで、社会とつながっている感覚が生まれ、互いを支え合う力が生まれる場を見てきました。支えられる人間には、支える力も同時に存在しており、それが生きる力になることも感じています。人を支えるには社会との「関係性」の支援が必須です。このような私自身の当事者性を生かした活動を行いたいと考えています。

最初に構想していた市民メディアについては、別の方向から取り組んでいけるのではと考えるようになりました。今後活動を行う中で、様々な社会課題に行き当たったり、感じることが出てくると思います。それを何らかの形で発信していくつもりです。私自身のこれまでの蓄積を生かして、執筆や発信活動は続けていきます。当初想定していたメディア(媒体)の形でなくとも、市民目線の発信活動は行っていけると考えるようになりました。むしろ、私自身の経験、これまでの知識や情報を生かし、より良い形での活動や発信ができるのではと考えているところです。


◆2012年、市民メディアとして立ち上げ
◆2015年、活動休止
◆2019年、コロナ禍 女性たちの置かれる状況に関心を持つ
◆2020年~「人同士のつながり」の支援を考える

​代表略歴

社会福祉士、産業カウンセラー、ホームヘルパー2級、福祉用具専門相談員

NPO法人レジリエンスこころのケア講座ファシリテーター養成研修修了、支援者スキルディベロップメント研修修了、デートDVファシリテーター養成研修修了


大阪府立大学社会福祉学部卒業後、福祉業界専門新聞の記者となる。医療・介護現場の見聞を深めるため病院や介護の現場で働いた後、記者に戻り永田町霞が関の医療行政、国内の医療介護現場を中心に取材。現在は一般紙、医療専門誌、ネットメディア(文春オンライン、ELLE ONLINE)等に医療にまつわる社会問題、制度解説などの記事執筆。2012年市民のための市民によるメディアを作りたいという思いからNPO法人パブリックプレス立ち上げ。(一社)日本病院会モダンホスピタルショウ委員(一社)、プレシジョンヘルスケア機構倫理審査委員、ロハスメディカル論説委員。大阪大学社会ソリューションイニシアティブ(SSI)基幹プロジェクト「科学と人のアートによって醸成される、一人ひとりの自律に基づく死生観に裏打ちされた超高齢社会」メンバー。講演、メディア出演多数。

 

※DVサバイバーとしての体験記はこちら


【著書】

『救児の人々~医療にどこまで求めますか』(ロハスメディア社)
『胃ろうとシュークリーム~本当に大切なのは何ですか』(ロハスメディア社)
『共震ドクター~阪神、そして東北』(長尾和宏共著、ロハスメディア社)
『地域包括ケアの課題と未来~看取り方と看取られ方』(小松秀樹、小松俊平共著、国書刊行会)

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