NPO法人パブリックプレス
書籍案内
新生児医療、高齢者医療、地域医療、延命医療、介護問題など
「軽蔑していいですよ。子供が助からない方が、よかったのかもしれないと思うことがあるんですよ……」。冒頭、早産で570グラムの長男を出産したシングルマザーの言葉が胸を突き刺すように迫ってくる。高度に発達した日本の新生児医療。本書はこれまで語られる事の少なかった「助かった後」に目を向けた。 ▼筆者は医療情報誌「ロハス・メディカル」論説委員の医療記者。都内の妊婦が搬送受け入れを断られて死亡した墨東病院事件を契機に、新生児医療が抱える矛盾と限界を探った。 ▼全13章の大半をインタビューで構成。子供が新生児集中治療室(NICU)に入院した母親や、救命の最前線に立つ新生児科医らの生の声を淡々とつづる。後遺症ある子供を支えるには、あまりにも貧困な医療や福祉の現状が浮かび上がる。 ▼NICUを中心テーマに据えながらも、論点は国民の死生観や社会構造など、私たちと医療とのかかわりの面にまで及ぶ。「医療にどこまで求めるのか」。私たち一人一人が一歩立ち止まり、自らに問い掛けることの大切さを訴える一冊だ。 (ロハスメディア・1680円) --「新潟日報読書欄」、2010/08/01
阪神淡路大震災で被災した町医者が、東日本大震災の被災地を巡った。▼兵庫県北部水害で被災した記者が、その町医者の処方する「被災地外でできること」を丁寧に聴き取った。▼こうすれば震災は人災へ育たない。
近年、装着する人が急速に増えた胃ろう。
優れた道具であることは間違いないが、本人以外の関係者にとって、あまりにも便利なため、乱用されている側面があり、苦しむ人も増えてきた。
そして、便利に使っていた側の問題は棚上げしたまま、「胃ろう」に対するマスコミのバッシングも始まってしまった。
話は、どんどんおかしくなって……。
一度立ち止まって、事実関係を再確認してみませんか。
知らないでいると、大変な目に遭いかねませんよ。
日本では、少子化・高齢化に加えて、人びとの貧困化・孤独化が進行している。国は、「地域包括ケアシステム」を各自治体に構築させているが、現在の社会保障を続けている限り、悲惨な敗戦が待っている。守るべきものは何か、捨てるべきものは何か。答えは、人びとの中にしかない。『医療崩壊』の著者が、業界を代表する論客21人と共に問う。