感情を表現することの難しさ
- kumada rie
- 2024年7月21日
- 読了時間: 3分
昨日、隆祥館書店さんのイベント「「子どもを守る言葉『同意』って何?」集英社発刊 テーマ『SNS、性被害、いじめなど、子どもたちをあらゆる危険から守るために、今、知っておきたいこと』」に行って参りました!
「子どもを守る言葉「同意」って何?YES、NOは自分が決める!」の書籍は、当法人の講座でも参考書籍として使わせて頂いたり、大人の方向けに境界線や同意についての知識を得ていただくために紹介させていただくことが多く、とても活用させて頂いています。
当法人では、同意の前にまず自他尊重の基本となる「境界線」をお伝えするところから始めています。というのは、私たち被害に遭ってきた当事者は、そもそも自分と他人の間の境界線があいまいどころか、自ら失わせていることが多いからです。自分自身の境界線を意識することができて、初めて他人の境界線も意識できます。同意は、相手の境界線の具合について尋ねる、確認するコミュニケーションだと思っているので、境界線を意識できることが自他尊重の基本になると考えています。
ただ、境界線を意識するということを、私たちはそもそも教えられてきていないし、考えたこともなく育ってきているので、非常に難しいです(だから親が境界線と向き合うと痛みを伴うこともあります)。また、機能不全家族では、境界線をなくすことが子どもにとってサバイバルの手段になっていることが多いので、子どもの頃から身に付けてきたやり方を変えるのはすごくハードルが高いです。何より、安心安全を感じられる人とつながり、そういう場がないと、境界線を表現することは心身の危険を伴います。
境界線の意識以前に、私たち当事者は感情を感じられなくなっていることが多いです。昨日の自助グループACOA大阪でも「感情を感じられない」「自分のニーズがわからない」がテーマに上がりました。機能不全家族で育った子どもたちは「感じるな」「考えるな」「質問するな」という禁止令が無意識に染みついていることが多いです。自分の感情やニーズよりも、周囲の大人の感情やニーズを優先することが身に付いていたりします。
私もそうですが、自分がどう感じているかとか、何をしたいかより、親の言動を見て「今、この場でどう振舞うことが適切か」「私は『子ども』として、この場で何を求められているか」を常に考えていました。子どもの頃に「あなたはどうしたい?」と聞かれた記憶はほとんどないですが、聞かれたとしても分からなかったと思います。親がどうしたいと思っているかなら、何でも答えられたと思いますが。
昨日のトークイベントで、「NOを言うことが安全ではない子どもたちにどう伝えたらいいか」と質問させて頂きました。そもそも感情が分からないことが多いため、NOを言うのはハードルが高いので、YESと感じられることにどんなことがありそうかを探っていくことが一つの手段になるというお答えをいただきました。これは本当にそうだなとかんがえさせられました。「なんだか心地いい気がする」「穏やかな感じがする」と思えるものは何か、というものを探したり、言語化していくことが一歩目になるかも、と思いました。
今の日本人に「同意のコミュニケーションをしましょう」というのはウルトラCを求めているのかもしれないと思ったりすることもあります。とはいえ、求める理想と希望がなければ進めませんし、この本はそんな希望を非常に具体的で分かりやすい形で示してくださっていると思います。ぜひ、皆様にもお手に取って頂けたらと思います。ACOA大阪でも蔵書にしておりますので、ご覧になりたいときはお声がけください。
隆祥館書店さま、素晴らしいイベントを開いて下さり、ありがとうございました。書籍の出版・編集に携わられた皆様、今後の子どもたち、日本のためになる書籍を出してくださり、本当にありがとうございました!
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