9/21はACOA大阪でした!今回も、私の心に響く素晴らしい時間をいただきました。みなさま、本当にいつも、ありがとうございます。
前回のブログでトラウマケアについて書きましたが、トラウマケアのどの段階でも重要なのが「グラウンディング」です。グラウンディングとは、昔から多くの人々が実践してきたスキルで、精神を安定させ、心を落ち着かせて安心し、ありのままの自分を受け入れやすくするものです。気持ちが乱れてもすぐに感情を安定させることができるため、過去のつらい記憶と向き合う時にも非常に役立ちます。「神経系と大脳辺縁系を落ち着かせることができ、前頭前皮質を使った思考作業にとって快適な環境を整えられる」とされています(「あなたの苦しみを誰も知らないートラウマと依存症からのリカバリーガイド」クラウディア・ブラック著:金剛出版2021年)。
瞑想、座禅、武道、太極拳、創造的アート、ヨガ、歌唱、ダンス、ライティング、園芸、動物に触れる、編み物、数独などのパズル、マインドフルネス瞑想なども、グラウンディングの一例です。
トラウマケアにグラウンディングが重要な理由は、トラウマがあると過去からの恐怖や未来への不安にとらわれやすくなり、「今ここ」の安心感を感じにくくなるためです。私も過去と未来ばかり考え、現実を生きている感覚が薄れていました。そのため、グラウンディングはとても苦手でした。なぜこうなりやすいのかというと、当時の困難な状況を生き延びるために、常に頭をフル回転させて「逃げるか、戦うか」というサバイバルを脳が続けていたからです。落ち着いてしまうとサバイバルができなかった、という面もあるのだと思います。
だから、グラウンディングが苦手なことはネガティブなことではありません。練習を重ねることで脳が「今は安全なんだ」と感じやすくなり、徐々にやりやすくなっていきます。
トラウマケアは安心安全をベースに進めていくものなので、グラウンディングは非常に重要です。過去の記憶と向き合う際は、まずは誰かのサポートを受けながら行うと安心できるでしょう。
グラウンディングの練習を始めるとき、恐怖や不安にとらわれやすいと感じる方は、マインドフルネス瞑想などの難しいものではなく、簡単な呼吸法から始めてみると良いかもしれません。
●4-7-8呼吸法(アンドルー・ワイル博士提唱)
4秒かけて息を吸い、7秒止めて、8秒かけて息を吐く。
●ボックス呼吸(「フラッシュバック対処と予防」服部信子著2023年)
同じ秒数で吐く、止める、吸う、吐くを繰り返します。例えば、4秒吐き、4秒止め、4秒吸い、4秒止める、という具合です。
●ろうそくを吹き消すイメージ
頭の中でろうそくをイメージし、それを吹き消すように息を長く吐くことに集中してみてください。
他にも呼吸法はたくさんありますので、自分に合った方法を試してみると良いでしょう。

●五感を使ったグラウンディング(「あなたの苦しみを誰も知らないートラウマと依存症からのリカバリーガイド」クラウディア・ブラック著:金剛出版2021年) 感覚に集中することで「今ここ」に意識を向けられます。私がよく行っている方法は書籍から引用してお伝えします。
私の五感
リラックスできるように座ります。
眼は閉じるか、視線を下に向けてください。
気持ちが落ち着いたら、深呼吸を数回してください。
眼を閉じていた方は眼を開け、
視線を下げていた方は視線をもとに戻します。
まわりを見回し、黙ったままゆっくりと
見える物を五つ確認してください。
次に聞こえる音を四つ確認してください。
次に何かのにおいを三つ確認してください。
次に二つの味を確認してください。
最後に身体に触れている物の感触を一つ確認してください。
エクササイズを終えた後も、なるべく呼吸を感じながら一日を過ごしてください。
私個人としては、グラウンディングはスキルというよりも「慣れ」が大きいと感じています。やればやるほど、その感覚が強くなってくる気がします。世間でも「マインドフルネス瞑想で集中力が上がる」と言われたりしますが、トラウマケアだけでなく、日常生活のさまざまな場面でも効果を発揮していると感じます。
グラウンディングはどんなケアを行う際にも役立つベースであり、生活にもたくさんの良い効果をもたらしてくれます。私も毎日何かしらのグラウンディングを練習しているので、ぜひ皆さんも一緒にやってみませんか?
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