top of page

イメージワークで過去の傷を癒す方法ー自分でできるこころのケア

  • 執筆者の写真: kumada rie
    kumada rie
  • 9月29日
  • 読了時間: 6分

8月に開催した「こころのケア講座」で、過去の傷を癒すイメージワークをご紹介させていただきました。参加された方々から「もう少し詳しく教えてほしい」といったお声をいただいたこともあり、このブログでも改めてご紹介させていただければと思います。


つらい記憶がふとした瞬間に蘇ってきて、心がきゅっと苦しくなったり、体の感覚がなくなってしまったり…。そんなつらい状態になることもあると思います。


過去の出来事は変えられませんが、その記憶によって今の私たちが苦しみ続けることは、できるなら減らしていけたらと思います。今回は、自分の中にある優しい力を使って、過去の傷ついた自分を癒していくための一つの方法として、「イメージワーク」をご紹介してみたいと思います。


このイメージワークは、心理療法の現場でも用いられる手法の一つです。最初は専門家と一緒に行い、慣れてきた方がセルフケアとして活用されることも多くあります。ただ、心に触れるワークは、時に揺れ動きが大きくなることもあります。決して無理はせず、「こんな方法もあるんだな」という気持ちで、ご自身の心と相談しながら読んでいただけたら嬉しいです。


このワークを試してみる前に

イメージワークは、とても力強い癒しのツールになり得る一方で、深い感情に触れることもあります。もし今、強い不安や恐怖を感じていたり、日常生活に支障が出るほどの症状がある場合は、まず医療機関や専門家(カウンセラーやセラピスト)にご相談されることをお勧めします。専門家がいることで、安全な環境の確保、感情が大きく揺れ動いた時のサポート、自分のペースに合わせた調整、より深い癒しのプロセスを体験できる可能性、などのサポートが得られます。


一方で、「まずはどんなものか知りたい」「自分のペースで少しずつ試してみたい」という方は、以下の内容を参考にしていただければと思います。


心の避難所をつくる準備

ワークを始める前に、まずは心と体を「今、ここ」に落ち着かせ、安心できる状態を整えることから始めてみるのも良いかもしれません。


1. 環境を整える誰にも邪魔されない、静かで落ち着ける時間と場所を選びます。ソファや椅子にゆったりと座ったり、楽な姿勢で横になったり。お気に入りのブランケットにくるまるのも、安心感につながるかもしれませんね。


2. グラウンディング(地に足をつける)ゆっくりと、ご自身のペースで深い呼吸を繰り返してみます。「吸って…吐いて…」と、呼吸に意識を向けてみるのも一つの方法です。

足の裏が床に触れている感覚、お尻や背中が椅子についている感覚を、そっと感じてみます。周りにあるもの、例えば壁の色やカーテンの模様などをいくつか目で見て、心の中で「あれは〇〇だな」と確認してみるのも、意識を「今、ここ」に戻す助けになります。


3. 「安全な場所」を思い浮かべるもし、できそうであれば、ご自身が心から「安心できる」「守られている」と感じられる場所をイメージしてみるのもいいかもしれません。

それは、あたたかい光に包まれたお部屋かもしれませんし、穏やかな波音が聞こえる浜辺、優しい木漏れ日がさす森の中など、どんな場所でも大丈夫です。

その場所にいる時の、心地よい感覚(あたたかさ、安心感、穏やかさなど)を、急がずにゆっくりと味わってみます。

この「安全な場所」は、この後のワークの途中でも、もしつらくなったり不安になったりした時に、いつでも戻ってこられる心の避難所になります。

グラウンディング

過去の自分にそっと会いに行くイメージ

心の準備が整ったと感じたら、過去の自分に会いに行くイメージをしてみることもできます。


1. 「今の私たち」の姿をイメージするまず、これから過去の自分を助けに行く「今の私たち」の姿を思い描いてみます。私たちは、たくさんのことを乗り越えて、今日まで生き延びてきました。その経験から得た強さや優しさ、賢さを持っている、頼もしい存在です。


2. つらい状況の「少し手前」から眺めるつらい出来事が起きていた場面を、いきなり真っ只中からではなく、少し離れた安全なところから、まるで映画のスクリーンのように眺めてみるイメージをします。距離を置くことで、少し落ち着いて見られるかもしれません。

その場面の中にいる、つらかった頃の自分を見つけてみます。小さくて、悲しそうで、傷ついているかもしれません。その子の存在を、ただ静かに、そっと認識します。


3. 優しく声をかけ、安心させてあげる「今の私」が、過去の自分にゆっくりと近づいていきます。驚かせないように、優しい気持ちでそっと近づきます。

もし、何か言葉をかけてあげられるとしたら、どんな言葉をかけてあげたいでしょうか。心の中で、優しく伝えてあげてみるのも一つの方法です。

「大丈夫だよ」「あなたのせいじゃないよ」「よくここまで頑張ったね」「私は未来のあなただよ、今がとてもつらいのを知ってるよ。あなたは一人じゃないからね」「私はあなたのそばにいるよ」など、かけてあげたい言葉をイメージしてみてください。


言葉がうまく出てこなくても、まったく問題ありません。ただ、その子のそばに寄り添い、優しく微笑みかけるだけでも、ただ隣に座っているだけでも、その気持ちは十分に伝わるはずです。

自分を助けるイメージワーク

4. 「安全な場所」へ一緒にもし、ここまでのステップで、まだ大丈夫そうだと感じたら、もう少しだけ進めてみることもできます。

「今の私たち」が、過去の自分にそっと手を差し伸べます。その小さな手を、優しく握ってあげるイメージです。そして、「一緒に行こう」と声をかけ、つらかったその場所から、二人で一緒に離れます。

最初に準備した、あなたの「安全な場所」へ、その子を連れてきてあげます。その安心できる場所で、一緒に過ごします。温かい飲み物をあげたり、優しく抱きしめてあげたり、ただ隣に座って寄り添ってあげたり。過去の自分が、少しずつ安心していく様子を感じてみましょう。

寄り添うイメージ

ワークを終えるとき

イメージの世界から、ゆっくりと意識を「今、ここ」に戻していきます。もう一度、ご自身のペースで深い呼吸を繰り返します。手足を少し動かしたり、軽く伸びをしたりして、体の感覚を取り戻していくのもいいかもしれません。

目を開けて、周りの景色をゆっくりと見回し、完全に「今、ここ」に戻ってきたことを確認します。


ワークの後は、温かいお茶を飲むなどして、ご自身をいたわる時間を大切にしてくださいね。感じたことや思ったことを、無理のない範囲でノートに書き出してみるのも、気持ちの整理につながることがあります。


とても大切なこと

  • 決して無理をしないでください。 途中で少しでもつらくなったり、怖いと感じたら、すぐにワークを中断してください。そして、ステップ1の「安全な場所」に戻るか、グラウンディングをして意識を現実に引き戻しましょう。

  • 一度で完璧にできなくても大丈夫です。 ステップの途中までしか進めなかったとしても、それはご自身をケアするための、とても大きな一歩です。ご自身のペースを何よりも大切に、何度かに分けて行ってみるのも良い方法です。

  • 専門家のサポートは、いつでも選択肢の一つです。 このワークを通じて強い感情が湧き上がったり、日常生活で困難を感じるようになった場合は、遠慮なく専門家にご相談ください。それは決して弱さではなく、ご自身の回復を真剣に考える勇気ある選択です。

私たちが、自分の力で過去の痛みを癒し、穏やかな時間を取り戻していく、そのプロセスを心から応援しています。


トラウマケアについて伝えるこころのケア講座でも、このようなイメージワークなどセルフケアツールをご紹介しています。10/2から今年度後半の講座が始まります。ぜひ皆様のご参加をお待ちしています。




コメント


この投稿へのコメントは利用できなくなりました。詳細はサイト所有者にお問い合わせください。

特定非営利活法人パブリックプレス

大阪府・池田市

  • X
  • Facebook
  • Instagram
  • Line

©2022 特定非営利活動法人パブリックプレス Wix.com で作成されました。

bottom of page